夜、遠くに見える火の柱


毎夜、眠りに就く前に
短いストーリーをひとつ読む
あるものは舌のうえで転がり
空中に浮遊するシャボン玉のようになる
あるものはよくこなれ
しかしヘアー・ボールのように胃にたまる
夕べのそれは
頬を薄い硝子で切ったようだ
つい、と流れた光の糸
赤く残った、かすかなカーヴ
そんな風にして
自分のどこそこに傷をつけ
かたちを変え
肩にほこりを積もらせてゆく
何か善いものが眼の前に現れないか
水晶のようなものが神にならないか
自由と鷹揚が
私を内側からカラにする
誰が私の寝ている間に
優しく地獄の火を焚くのか



(18歳の時に書いた詩です)



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